新しい猫を飼いはじめたとき、仲良くなるのに時間のかかる猫もいます。

私の母は、元野良の保護猫を引き取りました。 母がその猫と仲良くなるまで、割と長い時間がかかりました。 今回はそのことを書きたいと思います。

似たような状況で悩んでる人の参考になれば幸いです。

開腹して分かった悲しい過去

母は白い猫が希望で、野良猫・保護猫の里親を探す団体で見つけました。 生後数ヶ月の仔猫でした。 (↑後に推定年齢は間違いだったと分かるのですが)

その団体ではゲージを仕掛けて地域内の野良猫を保護し、去勢・避妊手術をして里親を見つけています。 高齢などで里親が見つからない場合は、手術後に元の捕獲場所付近で野良に戻します。

母が引き取り希望した猫は、都会のど真ん中で暮らしていた野良猫でした。

避妊手術後に、トイレのしつけなど人間との生活のための訓練を少ししてから、母の家に連れて来てくれるとのこと。

ところが、いざ動物病院で避妊手術をしようと開腹したところ、すでに避妊済だったことが分かりました。 耳に避妊済の切り込みもなく、気づかれなかったようです。

もとは、誰かの飼い猫だったのかもしれません。 でも、避妊手術までして捨てるかな? と考えると、もしかしたら家から逃げ出して帰れなくなった猫なのかもしれません。

どんな理由かは分かりませんが、すでに避妊手術を受けているのに、更にまたお腹を開けられてしまったのです。 胸が痛くなる過去です。

千代ちゃんが母の家にやってきた

その猫は母が引き取らなければ、保護した地区へまた放す予定でした。

飼い猫だったかもしれない野良猫、二度も開腹された保護猫。 母は仲良くなれるか少し悩んでいましたが、また野良猫にするのはかわいそうと引き取ることに決めました。

母は一軒家に、一人暮らしです。 室内用ケージやキャットタワー、おもちゃなどいろいろ買い揃えて、猫を待ちました。 その間に猫の名前も決めました。 名前は、千代ちゃんです。

動物病院で一度お見合いをしているので、美人さんだというのは分かっていました。

千代ちゃんが母の家に来て、はじめの2週間ほどはゲージ暮らしでした。 これは猫の保護団体の方が、アドバイスしてくれたことです。

日中でも夜間でも、ゲージの扉は閉めたまま、ご飯をあげるときとトイレの掃除のときだけ開けます。 また慣れるまでは、千代ちゃんが落ち着くよう、ゲージに毛布をかけていました。

▼室内ケージの中で小さく丸まる千代ちゃん 室内ケージの中で小さく丸まる千代ちゃん 母の家にきて1週間ほどした時の写真です。 (到着した日の写真も何枚かあるのですが、母が携帯の撮影に不慣れなためピンぼけばかり) ケージには布をかけています。

▼ケージの中でぼそぼそとご飯を食べる千代ちゃん 室内用ケージの中でぼそぼそとご飯を食べる千代ちゃん

▼まだ落ち着く場所が見つけられない千代ちゃん 落ち着くところがなくケージ内のトイレの砂の上で丸まる千代ちゃん 自分の臭いがあるトイレの砂の上に陣取っています。

▼ケージの奥で小さくなって警戒する千代ちゃん ケージの奥で怖がる千代ちゃん ↑これは、私が母の家に遊びに行った時に撮った千代ちゃんの写真です。 知らない家に連れてこられ、まだ落ち着く場所も見つけられないのに、また知らない人(私)が来たので、更に警戒してケージの奥で小さくなっています。

最初の数カ月間、母は完全に猫のご飯とトイレの世話係

案の定、千代ちゃんは警戒心が強く、なかなか母と打ち解けられませんでした。

うちも元野良で保護された猫を2匹迎えましたが、到着した日から一緒に遊べるレベルでした。 我が家の猫たちは野良生まれながら生後まもなく保護され、そのままボランティアのお宅で2〜3ヶ月過ごしたので、人間に対する慣れが違います。

千代ちゃんは、(おそらく)誰かに飼われ避妊手術を受けた後に野良猫になっています。 野良猫が暮らすには厳しい都会のど真ん中で生き延び、その後保護されてまたお腹を切られて母のところへ連れてこられたので、我が家の甘ちゃんたちとは警戒心が桁違いです。

千代ちゃんが到着してすぐ、母から「千代ちゃんが外へ逃げて見つけられない」と電話がありました。 電話とメールでさんざんやり取りして探しましたが、結局、家の中で隠れていただけでした。

いなくなった翌朝、母が二階へ上がり、ふだん使ってない部屋を通った時に何かをべちょっと踏んづけたのですが…千代ちゃんのウンチでした。 千代ちゃんは、二階の奥にある納戸のタンスの中に隠れていたのです。

その後も、マッサージチェアの下へ潜ったまま、冷蔵庫の裏へ隠れたまま…などありました。

同じ家に住んでいても、あまり顔を見せず、名前を呼んでも知らんぷり母は完全に千代ちゃんのご飯とトイレの世話係でした。 ご飯は食べるけれど、母が見てると食べてくれなくて、いなくなると食べるそうです。

キャットタワーでは大人しく寝ていても、触ると逃げるような付き合い方が続きました。

徐々に居場所を見つけていく千代ちゃん

千代ちゃんはなるべく母と顔を合わせないように、キャットタワーの最上段やマッサージチェアの下など、自分が安心できる場所を行き来していました。

家族とは呼べない同居人未満、お世話係のような生活ですね。 そんな生活の中でも、千代ちゃんはほんの少しずつですが、自分の居場所を増やしていきました。

▼マッサージチェアの上で寝る千代ちゃん マッサージチェアの上で過ごす千代ちゃん ↑母が仕事で家を開けてる間に千代ちゃんがマッサージチェアの上に寝ているのを知り、引っかかれないようマットを乗せたり。

▼テーブルの下で椅子に乗る千代ちゃん テーブルの下に収まった椅子の上で丸まる千代ちゃん ↑テーブルの下に収まった椅子の上は、人の視線を感じないので落ち着くようです。

▼猫ベッドに寝そべる千代ちゃん 猫ベッドに寝転がる千代ちゃん ↑周囲を囲われた猫ベッドも千代ちゃんが落ち着ける場所です。

▼カーペットの上でおろおろ カーペットの上でおろおろ ↑キャットタワーから降りたのはいいけど、落ち着かない様子です。

でも、後から数年分の写真を眺めると、千代ちゃんが少しずつ母との生活に慣れていく様子が見えました。 この家の中に怖い敵はいないと分かってきたのでしょうか。 自分の居場所を広げ確保していくのが写真で分かります。

▼ソファにたたずむ千代ちゃん ソファにたたずむ千代ちゃん

▼窓から外を見る千代ちゃん 窓の外を眺める千代ちゃん 最初の頃の写真は、千代ちゃんの居場所は限られていました。 でも時間が経つに従って、ちよちゃんの居場所が増えていきます。

▼じゅうたんの上でゴロンとする千代ちゃん じゅうたんでゴロンとする千代ちゃん

▼カーペットの上でお昼寝も カーペットの上でお昼寝も

元野良猫の千代ちゃんがはじめて抱っこできた日

母にうちの留守番を頼んだ時、康太(うちのオス猫)がひざに乗ったらしく、とても感激していたものです。 (康太はトイレまで着いてきて、便座に腰掛けた人の膝に乗る習慣がある)

その後も、私との電話の最中に康太の鳴き声が聞こえると「康太は膝の上に乗ってくれるから可愛い」と羨んでました。

猫をなでたい、抱っこしたい、膝に乗せたい…というのは、ネコ好きの共通願望ですよね。

家中に千代ちゃんの居場所ができていたので、触るチャンスは増えていました。 母は千代ちゃんがそばに来たときそーっとなでたり、背中をマッサージするところから始めました。

母は仕事から帰るとマッサージをしていたので、千代ちゃんも次第に《母が帰宅=マッサージの時間》と覚えてくれたようです。

▼大人しく母に撫でられる千代ちゃん 大人しく母に撫でられる千代ちゃん ↑撫でても逃げないのが嬉しかったようで、母がわざわざ写真を撮って送ってきました。

念願かなって、母が千代ちゃんを抱っこできたのは、一緒に暮らしてから8ヶ月後のことマッサージでうっとりした後に、はじめて抱っこできたそうです。 1人と1匹で暮らしていて、はじめての抱っこまで8ヶ月間とは! 私には待てそうにありません。

千代ちゃんを抱っこできるようになると、母は康太をうらやましがらなくなりました。 むしろ、いま留守番を頼むと、吠え癖のある康太がうるさくて寝られないと文句まで言います(笑) 康太に膝に乗ってもらわなくても、千代ちゃんを抱っこできますからね!

はじめての抱っこから更に2年後、千代ちゃんが母の膝に乗るようになりました。

千代ちゃんが自分から母の膝に乗るようになるまで、苦節3年。 今では、母が椅子やソファに座ると、必ず膝の上に乗ってくると言います。 すっかりベタベタの甘えん坊です。

ちなみに、うちのエル(メス猫)の場合、私の膝に乗るようになるまで1年近くかかりました。 (私の膝に乗らなかっただけで、夫の膝には来てすぐから乗り放題)

野良猫の年齢は体重だけでは分からないことも

母は今、電話のたびに「いま千代が膝に乗って、何もできない」と愚痴っています。 テーブルのコーヒーに千代ちゃんのしっぽが入りそうで困るとか、ずっと乗ってると重いとか、毎回同じことを言っています。 猫のいる生活、千代ちゃんとの仲良し生活を満喫してるようです。

▼母の膝に乗って動かない千代ちゃん 母の膝に乗って動かない千代ちゃん ↑母が椅子やソファに座ると、必ず膝の上に乗ってきて、そのまま動かないらしいです。

今ではすっかり母が大好きな千代ちゃんですが、野良猫時代はよほど苦労したのでしょう。

引き取って少し経った頃、病院で診てもらった際、保護された時すでに生後1年は経過していたはずだと言われたのです。

更に! 昨年病院で歯を見てもらう機会があり、その結果、保護された時実際は3歳は過ぎていたと分かりました。 衝撃の事実です。 生後数カ月の仔猫のつもりが、実は3才以上の成猫だったわけですから。

野良猫の年齢は体重だけでは分からないこともあるんですね。 とくに千代ちゃんの場合、近隣住人がほぼいない都会のオフィスビル街で暮らしていました。 野良猫には厳しい生活環境だったことでしょう。

生後数ヶ月の見立てが、実は3歳以上だったなんてビックリですが、千代ちゃんはそれくらい小さくて軽かったのです。 今でもやせっぽっちで、(母は重いと言いますが)体重も3kgありません。

たまに母の家に遊びに行って千代ちゃんを抱っこすると、軽すぎて心配になります。 うちの猫はオス猫の康太で4kg超、メス猫のエルは5kg以上ありますから。

また、すっかり家族になれた今でも、千代ちゃんは母の見てる前では食事をしないそうです。 それも野良猫時代の生活が影響しているのだと思います。

元野良猫や保護猫が人間と生活するときだけでなく、先住猫のいる家に新しい猫を迎えるとき、結婚後にパートナーの猫と暮らすときなども、同じような状況が起こるかもしれません。

なかなか新しい猫と打ち解けられなくて悩むことがあったら、千代ちゃんのことを思い出して長い目で見てあげて下さい。