パピ、マミとお別した日〜腎不全猫の最期(4)

2014年10月1日

三日半ぶりのオシッコ

パピはワタシが死んでから全然寝られなくて、朝まで起きてたみたい。
駄目ニャ、そんな事じゃ…

病院に行かなくていいせいか、
マミは目覚ましが鳴ってたのに寝坊した。

そして、パピに「(パピ)君、まるのこと触ってみて」とお願いしてた。

それまで手をつないでたのが、
いったん手が離れた後にワタシの死体に触るのが恐かったみたい

パピが触って「冷たいし、死後硬直で堅いよ」と言うと、
マミは《冷たくて堅いんだ!》と覚悟を決めて触ってた。

時間はすでに11時少し前。

「あ、先生が待っててくれてるかも知れないから、
病院に電話しなさい」とパピがマミに言ってた。

マミはいつも通ってた動物病院へ電話した。
そして「どうしたらいいか分からないんですけど」とペットの葬儀業者を教えてもらった。

ワタシのマミとパピは、ちょっと…
変わってる?かも知れない。
と言うのは、死んだ後の遺体やお墓にはまるで興味がない。

昔から「私(俺)が死んでもお墓なんて要らないから、骨はコンビニの袋にでも入れて捨てて!」と言うタイプ。
当然、葬式なんてしないでくれと言う派。

だから、ワタシのことも火葬してくれさえすればそれでいいみたい。

ところが紹介してもらったペット業者へ電話すると、
日曜だったせいか「今日はもう予約でいっぱい」と言われたの。

どうせ月曜日以降になるなら、
10倍以上高いペット業者に頼む必要なんてないね、と
区のサービスを利用することに決めてた。

そうして、ワタシの空っぽの体は月曜の朝まで
パピとマミのそばに置いてもらえることになった。

パピは「まるとのお別れはもう済んだ」と言いながらも、
リビングの座椅子にクッションを乗せてペットシーツを敷いて、ワタシはそこへ置かれた。

パピが前日着てたTシャツをお布団代わりに掛けてくれた。
ワタシの大好きなパピの匂いがするようにって。

あれ? ワタシはもう死んでるんだし、
パピの匂いがついたTシャツなんて掛けられても分からないはずでしょ?(≖ლ≖๑ )

でも…まぁそれはそれ。

パピとマミは仕事は山程溜まってるけど
どうせ何も手に付かないし、片付けでもしよう!」と
介護生活の後片付けを始めたの。

食べきれなかったご飯、冷凍してたご飯、猫用トイレ、
ベッドに貼り付けてたペットシーツを剥がして、
汚れ物はバンバン洗濯して、使えないものはどんどん捨てて…
パピが何度もゴミ捨て場に行ってた。

何て言うか…切り替え早っ!!

ワタシが最後に寝てたあたりを片付けてると、
マミは電気毛布の上に敷いてたペットシーツが重いことに気付いた

オシッコだ

死んじゃう直前パピがワタシの向きを変えてくれてから、
ものの数分しか持たなかったけれど、最後の最後でオシッコが出てた

マミは「まる、最後にオシッコ出てたんだ…」と泣いた。

マミは腎不全でオシッコが出ない苦しさを知ってるし、
オシッコさえ出ればずいぶんと楽になることも知ってるから、
オシッコが出て欲しいとすごく強く思ってた。

(詳しくは『マミも腎不全、ワタシも腎不全』を見てね)

マミは「このシート取っておこうかな…」とか言うくらい
最後のオシッコを見て、安堵してた。

まあ、パピに「アホか?」と言われて諦めてたけど。

丸三日半ぶりにオシッコが出て、そのまま死んじゃったの

あともう少し早く出てくれてたら…マミやパピはそう言うけど、
でも、もうオシッコが丸三日以上出ないの二度目だったし、
これでも死にものぐるいで頑張ったんだから、許して欲しいのニャ…

そこに置いてるのは、ワタシが使ってたただの入れ物ニャ

掃除や片付けの間も、ことあるごとにワタシの入れ物だった体のそばへ寄っては、撫で撫でしてた。

特にマミは何度も何度もスリスリしてた。

そして「冷たくて堅いけど、まだまるの匂いがする」なんて言っては撫でにきた。

「死んでても、毛の触り心地はまるだよ〜
このままずっとこうして撫で撫でしてたい」と言って、パピにたしなめられてた。

マミはなかなかワタシが死んだことが受け入れられないみたい。

「ずっと同じ方向だと、あれかもしれないから、反対向きにしてあげようか」

もう死んでるんだから、どっちでも同じだけどね。

あれって何だよ?と思ってるだろうパピは、
マミの気持ちを汲んでワタシの死体を優しく持って、丁寧に裏返した。

でも、もう死んでから12時間近く経って、
死後硬直もとけた体はぐにゃっとしてるので、
お尻の方を置く時に手が滑り落ちちゃった。

すると、ビックリ!
オシッコ?が数滴、飛び散った。

よく見ると、ワタシの入れ物だった死体の鼻からも、変な液体がこぼれてた。

マミはキレイに拭いてくれたけど、相当ショックを受けてた

そして、パピにこう言ってた。
「毛の触り心地はまるだし、死んでてもいいからずっとここに置いて、撫で撫でしてたいと思ったけど…そういう訳には行かないんだね」

死んでから12時間を超えて、死後硬直もとけて、
ワタシの入れ物だった体の中では内蔵がどんどん溶けてるの。

マミは、ワタシのこといつも「いい匂い❤(´ω`*)」と褒めてくれてたけど、段々と変な臭いがし始めた。

ワタシの安らぎのために買ったマタタビのお香が
まだ1パック残ってたので、それを焚いてた。

マミは小さな保冷剤をハンカチにくるんで、
ワタシの入れ物だった体の下へ入れたけど、
時間が経つにつれて臭いが強くなってきた。

なので、今度はジップロックに氷を大量の塩を入れたものを
ハンカチタオルにくるんで、それを体の下へ敷いた。

※氷に塩で氷点下まで下がるので保冷剤替わりにした。
 詳しく知りたい人は「氷 塩」とかで検索して欲しいニャ!

お香が切れると腐臭(?死臭?)が漂ってくるので、
臭い消しにろうそくも灯した。

お片付けが終わって、ベッドは元の寝室に移動した。
(ワタシが病気になったので看護しやすいようリビングに隣接する部屋へベッドを移動してた)

ところが夜になると、
寝室とワタシの体の置かれたリビングが離れてて寂しくなったみたい。

パピとマミは、リビングにお客さん用のお布団を敷いた。

まるの入れ物でしかなくても、撫でられるのは今日までだから・・」って。

泣かれるよりは笑われた方が死んだ方も気が楽なのニャ

そして、二人はワタシの死体のすぐそばに敷いたベッドで、写真や動画を見始めた
マミがiPhoneで撮った動画。

何かさせたいことがあるようだけど、思惑通りにいかなくてお尻をペンペンしてる動画、
パピがラジコンでワタシを追いかけ回してる動画、
シャボン玉で遊ばせようとしてしつこくしてる動画、
寝起きの声を撮りたくて熟睡中に起こされる動画…

ほとんどがイジメみたいな動画ばかり。

パピとマミは、何度も動画を見ながら二人で大笑いしてた

…んん? お通夜(じゃないけど、そんなようなもんだよね?)ってこんな感じだっけ? というくらい、二人で笑ってた。

いつもより少し狭いお布団で、うつぶせに肘をついて
iPhoneやiPadで動画を見て笑って、
まるで修学旅行か何かの夜みたいに楽しそうにワタシのことをいっぱいお話してた

ふだんならまだ飲んでる時間だけど、
翌朝は早く起きて区に問い合わせしないと行けないからって早めに寝てた。

寝る前に新しいろうそくを点けてたけど、
風の流れで時折くさい臭いがマミたちの鼻やのどを刺激しちゃったみたい。

明け方近く、臭いで目が覚めたマミは、
また新しいアロマキャンドルを点け直してた。

朝8時過ぎに起きて、マミは区役所の担当部署へ電話した。
パピたちの住んでる区では死んだペットを清掃局へ預けると、
区の方で契約してるペットの葬儀会社へ依頼してお弔いしてくれるの。

金額は、たったの2600円ニャり

婆ちゃんは飼っていた猫が死んだらペット霊園で火葬して、
個室のお墓を持って時々お墓参りもしてた。
そう言う人の方が多いだろうことはパピ達も知ってる。

でも、パピやマミは人間(猫も)一分一秒長く生きることに意味がある!という信条で、
死んだ後の体は生前の入れ物でしかないし、
死体や焼け残りの骨には思い入れがニャいタイプなのの。

区の引取先場所を聞くと、自宅からものすごく近かった。

パピとマミはワタシの入れ物だった体を
ペットシーツとTシャツでくるんで、猫バッグへ寝かせた。

もう柔らかくてグニャっとしてるから、
パピもなるべく丁寧に置いたんだけど、軽い衝撃でも鼻から体液が出た。

引き取り場所までの移動も変な液がこぼれないよう、
パピは振動を与えないようバッグを抱えてゆっくり歩いてくれたけど、中ではやっぱり鼻から汁が出てた。

担当の人はとても親切で、見知らぬ猫の死体にもかかわらず、
きちんと両手でバッグを受け取って「お預かりします」と丁寧に下ろしてた。

マミとパピはその足で近くの駅ビルへ行き、
動物病院の先生達へ渡す美味しいお菓子(パピの大好物ニャ)を買うと、これまでのお礼をかねて挨拶へ向かった。

ワタシが毎日点滴に通院してたもんで、
先生はひと月以上も、お休み無しだったから!

パピは帰り際に
「また近いうちに新しく猫を飼うつもりなので、その時はまたお願いします♪」なんて挨拶してたよ。

でも、別に驚きでもショックでもないの。

だって、パピは死んだワタシよりも、
生きてるマミをとっても心配してる
んだもの。

マミは丸っと21年ワタシと暮らしてきた。

マミは、婆ちゃんや爺ちゃんといた時間より、
ワタシと一緒に過ごした時間の方が長いの。
自分の親よりも、ワタシと長くいたニャ

マミのワタシへの溺愛ぶりに、
ワタシが病気になるずーっと前から、
パピはペットロスを心配してたくらい。

ただマミにとってほんの少し救いになった事と言えば、
ワタシが点滴のむくみで、死んでも尚丸々としてたこと。

あんまりゲッソリした顔だとマミ的にショックが大きくなるかも?

けど、点滴の残りで手も足もパンパン、
お顔もパピやマミがそばで撫でられたり休んでる間に少し表情は和らいだしね。

※ゲッソリ顔と真ん丸の体は『猫の腎不全でオシッコが出なくなってから〜腎不全猫の最期(3)』を見てね

マミは自宅へ戻ると直ぐに区の担当へ電話して、
猫の里親になりたいと申し込んでた。

パピ的に、ワタシの後は少し(数ヶ月とか?)間を空けてから次の猫を飼いたかったみたいだけど、もう明日にでももらいに行こう!とマミに言ってる。

マミが気に入って携帯の待ち受けにしていたワタシの写真
マミが気に入って携帯の待ち受けにしていたワタシの写真

死んだ後の写真はニャい(本当はあるけど載せないでって)。

代わりに、マミのお気に入りの写真を載せておくのニャ。

しかし、どうしてまたこんな怒り写真が好きなんだか…
マミってわざわざこういう顔を選んで写真撮るの。

猫の腎不全でオシッコが出なくなってから〜腎不全猫の最期(1)
猫の腎不全でオシッコが出なくなってから〜腎不全猫の最期(2)
猫の腎不全でオシッコが出なくなってから(パピが泣いた日)〜腎不全猫の最期(3)

さてさて…
ここまで読んでくれた猫ちゃん大好きな人は、きっとこう思うのニャ。

「アイドル嬢のまるが死んじゃったら、スナック『まる』はどうニャるの?」って。

でも、安心して欲しいのニャ〜
これからは化け猫になり損ねたワタシが幽霊となって、スナック「まる」を営業していくニャ!

スナック「まる」幽霊編に突入するのニャ〜

この短期間で書ききれなかった慢性腎不全の闘病生活、
パピやマミの介護生活、
21才まで風邪ひとつ引いたこともなく、元気いっぱい飛び跳ねてたスペシャル元気な猫の育て方、
家族の接し方などなどを書いていくつもりニャの!

もう新しい写真は出てこないけど、古い写真を載せるから、そこは許してニャん!